熱中症対策の最新研究が示す、冷却タオルならぬ“氷水タオル方式”とは?

熱中症対策の最新研究が示す、冷却タオルならぬ“氷水タオル方式”とは?

こんにちは、フィジカルラボ銀座です。

今年も猛暑が続き、屋外での活動には熱中症のリスクがつきまといます。

特にスポーツや部活動では、数分の対応の遅れが命に関わることも。

熱中症になった時にまず大切なのは、とにかく身体を冷やすことです。そこで今回は、シンプルかつ効果的な冷却法「氷水タオル方式」を検証した最新の論文をご紹介します。

 

Nathalie Dollée et al., 2025

Exertional Heat Stroke: Are We Cool Enough? Retrospective Observational Study of Patients of Running Events

 

〇背景

運動誘発性熱中症(EHS)の治療においては、「早期認識」と「迅速な冷却」が最も重要です。救急車が到着するまでの対応として冷水浴が最も効果的とされていますが、多くの人手や設備が必要という制約があります。

そこでより実用的な方法として、氷水に浸したタオルを全身に当て、温まったらすぐ交換する「氷水タオル方式」の有効性が検証されました。

 

〇研究方法

対象:20162019年のランニングイベント参加者のうち、医療介入を必要とした人

EHS 判定:鼓膜温が40°C以上かつ神経症状を伴ったケース

主要評価項目:氷水タオル法によって、30分以内に体温が40°C未満に下がった患者の割合

 

〇研究結果

ランナー総数374,534人中、医療支援が必要だったのは879人。そのうち鼓膜温が40°C以上でEHSとされたのは36人(中央値年齢32.5歳、男性69%)。

・全例(100%)が30分以内に40°C未満に体温を下げられた。

・平均冷却速度は 0.12°C/分(95CI0.09–0.15°C/分)。

95CIとは「95%の確率でこの範囲に収まる」という統計的な信頼区間を意味します

・死亡例はゼロ。

 

※「冷水浴」の冷却速度(通常0.150.20/分程度)に比べるとやや遅いが十分実用的といえる。

 

〇この結果からわかること

国際的に「EHS30分以内に中心体温を40以下に戻すこと」が救命の目安とされています。この研究で行われた氷水タオル法でも全例がその基準をクリアしています。

一番効果が高いのは全身を冷水に入れて冷やす冷水浴ではありますが、困難な場所では、氷水タオル法が現実的かつ効果的です。熱中症が疑われる場面に遭遇した際など、いざという時の応急処置として覚えておきたい方法です。

 

©Physicl lab Co.,Ltd. 2025

 

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