こんにちは。銀座のコンディショニングジム「フィジカルラボ銀座」の川越康平です。
前回の記事では「運動頻度と実施時間で身体機能への影響はどう変わる?」というテーマで白岩加代子さんらによる2017年の研究をご紹介しました。今回はそのデータをふまえて、実際にどのように運動をしていくべきかをお話ししていきたいと思います。
前回のおさらい
この研究では、対象者を「運動なし」「毎日30分未満」「ときどき30分以上」「毎日30分以上」の4つのグループに分けて、それぞれの身体機能と体脂肪率の差を比較しています。
結果として興味深かったのは次の3点です。
・「毎日30分以上」運動している人は、身体機能が明らかに高かった
・毎日運動していても「30分未満」の場合、「運動なし」と大きな差が見られなかった
・ただし体脂肪率については、「運動なし」より「30分未満」の方が有意に低かった
この結果から、次のように考えることができそうです。
身体機能を高めたいのであれば、毎日30分以上の運動が一つの目安になる
一方で、生活習慣病の予防などを目的とする場合は、30分未満でも「毎日体を動かす」ことが効果的であるということです。
ただし、運動強度によっては毎日行わない方が良い
上記で毎日30分の運動をすることで身体機能が高まるとまとめましたが、気をつけなければいけないことがあります。
それは運動強度や運動内容などによって“適切な頻度や休息”は変わるということです。
例えば、
・「ウォーキングなどの低強度な運動」と、
・「筋力をつけるための高強度トレーニング」では、
必要な回復時間も運動頻度も全く違います。
ウエイトトレーニングなどの場合は筋肉の回復のために中2~3日空けることが理想的です。毎日実施する場合は胸、背中、脚など部位を分ける必要があります。
一方で軽度な有酸素運動や身体機能を調整するためのエクササイズなどは基本的には毎日取り入れても問題ありません。むしろ今回紹介した内容のように毎日30分間の運動を取り入れることが身体機能の維持には重要と考えられます。
身体機能が下がっているサインは?
「身体機能」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、自立した生活を送るうえで、とても重要な要素となります。わかりやすくいうと「立つ、歩く、しゃがむ、物を持ち上げる、振り向くといった基本的な動作を無理なくスムーズに行える能力のことです。
例えば、
・すぐに疲れてしまう
・段差につまずきやすい
・腰や肩、膝に痛みが出やすい
・姿勢が悪くなってきた
これらのどれか一つでもあてはまる場合は身体機能が落ちている可能性があり、改善や予防のためには、今回の研究を参考にすると毎日30分以上の運動をすることが必要になります。
ただ、なかなか運動をする気になれないことや忙しくて30分も時間を取れない方もいらっしゃるかもしれません。その場合は15分を2回に分けても問題ないと思います。
実際にフィジカルドックを受けられる方の中でも家事や育児、お仕事などで30分も時間が取れず、15分ほどで実施できるエクササイズプログラムを作成して欲しいという相談は多いです。
今日からできる運動の組み合わせ例
本来であれば、一人ひとりの体の状態や生活スタイルに合わせて、オーダーメイドの運動プログラムを作成できるのが理想です。私たちのジムでは、実際に「フィジカルドック」を通して、体の動きや筋力、柔軟性などをチェックしながら最適なプログラムをご提案しています。
ただ、この記事を読んでくださっている方の中には、「まずは自分でやってみたい」「運動習慣の入り口として何をすればいいか知りたい」という方も多いと思います。
そこで、ここでは“今日からすぐに始められる”簡単な運動の組み合わせをご紹介します。
提案①:ラジオ体操&筋トレ+ウォーキング
・朝:ラジオ体操と自重スクワット15回×2、腹筋運動10回×2など(約15分)
・夜:食後に15分ウォーキング
ラジオ体操で可動域の確保、筋トレで筋力の維持、ウォーキングで心肺機能の維持、とバランスよく運動を取り入れた内容です。
提案②:朝ストレッチ+お昼ウォーキング
朝:ストレッチ(硬くなりやすい股関節や胸周りを中心に15分)
昼:お昼休憩の時間に15分のウォーキング
朝のストレッチでこわばりを解消し、お昼休みに少し体を動かすことで血流を促せると午後も快適に過ごしやすいかと思います。
提案③:夜のお風呂前に簡単な体幹トレーニング+お風呂後にストレッチ
お風呂前:プランク30秒×2、ヒップリフト10回×2など
お風呂後:ゆっくり伸ばすストレッチ
朝から夜まで忙しくて時間が取れない方はお風呂の前後に運動を取り入れられると良いかもしれません。
どれか一つでも、生活に取り入れやすいものがありましたらぜひ始めてみてください!
続けるコツは頑張りすぎないこと
運動を始める際に考えていただきたいことはいきなり完璧を目指さないことです。運動は何より継続することが大切なので小さなことから始めましょう。
例えば、先ほどは1日30分となるような運動の組み合わせを例にあげましたが、現在運動習慣がない方はラジオ体操から始めてみることやストレッチを一つから始めてみることをおすすめします。
また、日常生活でも身体機能を高めるためにできることは多く、
・エスカレーターではなく階段を使ってみる
・仕事の合間に肩を回してみる
・家事の合間にスクワットを少しやってみる
上記のような小さな積み重ねをするだけでも今後の身体機能(体の健康)を支える基盤となります。運動が「特別なこと」ではなく、生活の一部となるような運動習慣を始めてみましょう!
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