睡眠の質を高めるためのポイント②トレーニングが睡眠の質に与える影響

睡眠の質を高めるためのポイント②トレーニングが睡眠の質に与える影響

『一般成人に必要な睡眠時間は何時間ぐらいでしょうか?』

 

この問いに正しく答えられない人は、特に日本においては多いのではないでしょうか。

 

医学的には成人であっても1日8時間の睡眠が推奨されており、

一方で日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、OECD各国の中で最下位だとされています。

 

これは日本人が短い睡眠時間でも問題なく活動できる民族という訳ではなく、

「寝ずに頑張るのが美徳」「8時間も寝る必要ない」といった固定観念から来ているものかと考えられます。

 

しっかりとした睡眠をとることのメリットは計り知れませんが、一方で短い睡眠に慣れてしまっており、

なかなか十分な睡眠をとれないというかたも多いかと思います。

 

その解決方法の1つが『運動をすること』なのですが、そういった話をすると

「いやいや、運動をすると疲れている分その日が眠くなるだけでしょ」

といったリアクションをもらうこともあります。

 

実はその日の寝つきが良くなるだけでなく、運動を習慣化することで他の日の睡眠の質も変化することが知られています。

 

本日は様々な運動の睡眠への効果を比較した研究から、より良い睡眠をとるための方法について考えていきましょう!

 

Exercise training improves sleep quality: A randomized controlled trial

Jurado-Fasoli et al. (2020) (1)

 

研究方法

 

【被験者】

 

運動習慣のない中年の男女80名

 

【介入、測定】

 

コントロール群(介入なし)

ジョグ&低強度筋トレ群

HIIT群

HIIT+EMS群

 

に分かれて12週間介入を行い、その前後での

・主観的な睡眠の質

・睡眠時間

・睡眠効率

を測定。

 

※HIIT  :高強度インターバルトレーニング(この研究ではランと自重エクササイズを用いて実施)

EMS  :電気刺激を用いた筋肉のトレーニング

睡眠効率:実質の睡眠時間/寝床についていた時間

 

結果

 

主観的な睡眠の質はコントロール群以外のすべての介入群で向上

 

睡眠効率、睡眠時間はHIIT+EMS群でのみ向上

 

この研究から分かること

 

主観的な睡眠の質に関してはどの運動であっても向上するようです。

 

一方で、客観的に測定した睡眠効率はHIIT+EMS群のような、

心肺機能にも筋肉にもある程度の強度の刺激が加わる運動でないと向上しないことが示されました。

 

この研究においてはEMSが用いられていますが、一般的な中~高強度のウエイトトレーニングにおいても

筋肉には刺激が加わるので同様の効果が見込まれると考えられます。

 

しかしながらトップアスリートは逆に睡眠効率が低いことが報告されていることから(2)、

ハードすぎるトレーニングは逆に睡眠に対して悪影響を与える可能性も考えられます。

 

睡眠の質を高めて日頃から活力を持って過ごすためにも、自分に合った強度の運動をデザインしながら

無理せず徐々にレベルを上げてくのが良いでしょう!

 

©Physicl lab Co.,Ltd. 2021

 

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参考文献

 

  1. Jurado-Fasoli, L, De-la-O, A, Molina-Hidalgo, C, Migueles, JH, Castillo, MJ, and Amaro-Gahete, FJ. Exercise training improves sleep quality: A randomized controlled trial. Eur J Clin Invest 50: 1–11, 2020.
  2. Leeder, J, Glaister, M, Pizzoferro, K, Dawson, J, and Pedlar, C. Sleep duration and quality in elite athletes measured using wristwatch actigraphy. J Sports Sci 30: 541–545, 2012.

 

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