コロナ禍で外出の頻度が減り、座っている時間が長くなっているかと思いますが
皆様は普段、どのような姿勢で座っていることが多いですか?
「姿勢1つで気分は変わる。」
こういった情報はテレビなどのメディアでもよく紹介されています。
実際に胸を張って顔を上げると、確かに晴れやかな気分になる気もしますよね!
ではそのような姿勢をとっているとき、身体ではどのようなことが起きているのでしょう?
今回は『ホルモン分泌』の観点からそのメカニズムについて検討した研究をご紹介します。
Power Posing: Brief Nonverbal Displays Affect Neuroendocrine Levels and Risk Tolerance
Carney et al., 2010.(1)
研究方法
42人の男女(女性26人、男性16人)を対象に、異なる姿勢によるホルモン分泌の違いを検討
被検者を21人ずつランダムに、
ハイパワーポーズ群(胸を張って、手足を広げた姿勢)
ローパワーポーズ群(背中を丸め、手足を縮こまらせた姿勢)
に分け、1分間ずつポーズをとらせた。
- ホルモン濃度
ポーズをとる直前、とった後(平均17分後)の唾液を摂取
その唾液から
・テストステロン
・コルチゾール
2つのホルモンの濃度を算出
- 気分
ポーズをとった後のPowerful Feelings(主観的な「パワフルさ」)を1~4の4段階で評価
結果
- ホルモン濃度
テストステロンの濃度はハイパワーポーズでは増加、ローパワーポーズでは減少
変化量は2群間で有意差あり(p<0.05)
コルチゾールの濃度はハイパワーポーズでは減少、ローパワーポーズでは増加
変化量は2群間で有意差あり(p<0.02)
- 気分(パワフルさ)
ハイパワーポーズ群
4段階で2.57±0.81
ローパワーポーズ群
4段階で1.83±0.81
この研究から分かること
ハイパワーポーズをとった被験者は、ローパワーポーズをとった被験者よりも、テストステロン濃度が増加し、コルチゾール濃度が低下しました。
テストステロンといえば男性ホルモンの一種というイメージもありますが、
男女ともに
・筋肉量の増加(4)
・リーダーシップ(3)
に関連していると言われています。
一方でコルチゾールは「ストレスホルモン」とも言われ、アスリートのオーバートレーニング時など、
ストレスが大きい環境下で特に顕著に分泌されてしまうホルモンです。(2)
免疫機能の低下に働くことや、筋の分解を促すことでも知られています。
ハイパワーポーズ群でのテストステロンの増加、コルチゾールの低下は、パワフルな気分をより感じるようになった大きな要因だと考えられます。
デスクワークなどで縮こまった姿勢(ローパワーポーズ)をとりがちな方は、少し胸をはり、手足を軽く広げることで、気分も晴れて作業もはかどるかもしれませんね。
©Physicl lab Co.,Ltd. 2021
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参考文献
1.Carney, DR, Cuddy, AJC, and Yap, AJ. Power Posing:
Brief Nonverbal Displays Affect Neuroendocrine Levels and Risk Tolerance. Psychol Sci 21: 1363–1368, 2010.
2.Kreher, JB and Schwartz, JB. Overtraining Syndrome : A Practical Guide. Sports Health 4: 128–138, 2012.
3.van der Meij, L, Schaveling, J, and van Vugt, M. Basal testosterone, leadership and dominance: A field study and meta-analysis.
Psychoneuroendocrinology 72: 72–79, 2016.Available from: http://dx.doi.org/10.1016/j.psyneuen.2016.06.005
4.Schoenfeld, BJ. The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. J Strength Cond Res 24: 2857–2872, 2010.