2021年も半年が経過し、いよいよ夏本番が近づいてきました。
今はコロナ禍で外出の機会も減っていますし、常に冷房の効いた中で過ごしている方も多いかと思います。
そうなってくると、例年以上に夏バテが懸念されますよね...
運動をして体力をつけることで夏バテ予防も期待出来ますが、実は運動だけを行うよりも、
もっと効率的な夏バテ予防の方法があります!
それが運動に加えてお風呂に浸かること。
一般の方の夏バテ予防だけでなく、アスリートが暑い環境でもパフォーマンスを維持することにも役立つこの方法について、
今回はZurawlewらの研究を基に解説していきます。
Post-exercise hot water immersion induces heat acclimation and improves endurance exercise performance in the heat.(1)
Zurawlew et al., (2016)
研究方法
運動習慣のある男性17名を以下2群に分割
運動後温浴群 :10名
コントロール群:7名
【介入】
両群とも18度の室温で65%VO2maxの負荷で40分ランニングを実施
運動後温浴群はその後40度のお湯に40分間浸かった
コントロール群はその後34度のお湯に40分間浸かった
※事前測定で34度のお湯であれば18度の室温で過ごした場合と同じような体温変化があり、
温熱作用も寒冷作用も働かないと考えられた
上記を6日間連続で行った
【測定】
6日間の介入の前後で以下の項目を測定
・安静時深部体温
・運動時深部体温(室温18度)
・運動時深部体温(室温33度)
・5㎞ランニングのタイム(室温18度)
・5㎞ランニングのタイム(室温33度)
※深部体温は直腸温を測定
※運動時深部体温は65%VO2maxの負荷で60分運動したときの温度を計測
※5㎞のランニングは65%VO2max60分を実施した60分後に実施
結果
運動後温浴群においてのみ、
・安静時深部体温
・運動時深部体温(室温18度)
・運動時深部体温(室温33度)
の低下が認められました。(p<0.05)
また、運動後温浴群においては
室温33℃での5㎞のランニングのタイムは4.9%減少し(p<0.05)
室温18℃での5㎞のランニングのタイムは有意な変化は認められませんでした。
一方でコントロール群においては深部体温、5㎞のランニングタイムのすべての数値に有意な変化はありませんでした。
また、運動後温浴群においては運動中の発汗率(1時間あたりの発汗量)に増加が見られ、
4日目以降は1日目に比べて有意に発汗率が高いことが認められました。
この研究から分かること
人間は環境に適応する生き物なので、暑さに打ち勝つにはあえて暑さという負荷を与える必要があります。
運動後にお風呂に浸かることで、運動で上がった体温を維持し続けることができ、
発汗量の増加などを始めとした体温調節機能が変化して暑熱順化(暑さへの身体の適応)を引き起こします。
これにより運動時の体温だけでなく安静時の体温も変化していることから、
普段の生活を送る中での夏バテにも効果があると考えられます。
また、運動後温浴群においては暑熱環境下でのランニングのタイムも向上したため、
ランナーの方のパフォーマンスアップにもお風呂の活用は有効であると考えられるでしょう。
一点注意が必要なのは、この方法を行うときには十分な水分を摂取することと、
暑さに耐えられなくなったら無理をしないことです。
是非、暑さに打ち勝つために運動後のお風呂を実践してみてください!
©Physicl lab Co.,Ltd. 2021
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参考文献
- Zurawlew, MJ, Walsh, NP, Fortes, MB, and Potter, C. Post-exercise hot water immersion induces heat acclimation and improves endurance exercise performance in the heat. Scand J Med Sci Sports 26: 745–754, 2016.