【リサーチ】肥満は腰痛の原因になる

【リサーチ】肥満は腰痛の原因になる

体重の増えすぎには、どのようなリスクがあるでしょうか?

有名なものとしてはメタボリックシンドロームがありますよね。
内臓脂肪型の肥満に伴い、血圧やコレステロール、血糖値の上昇がみられる状態で、これが重篤な疾患のリスクになると言われています。

このように「肥満」と「疾患」の関係は一般的ですが、じつは肥満は「内科的な疾患」以外にも、整形外科的な症状とも関連があると言われています。

本日は、代表的な整形外科的な疾患の1つである「腰痛」と肥満の関係についての研究のご紹介です。


The Association Between Obesity and Low Back Pain: A Meta-Analysis

Rahman Shiri et al, 2009

「肥満と腰痛の関係」

【研究デザイン】

肥満と腰痛の関係について調査した研究(Cross Sectional Study、Cohort Study)を集め、その結果を統合して分析(Meta-Analysis)

肥満(BMI30以上)の被験者と、適正体重の被験者(BMI25未満)での腰痛の発症率(OR)の比較

分析は
Cross Sectional Study(ある時点でのBMIと、過去1年の腰痛の発症の関係の調査)
Cohort Studt(ある時点でのBMIと、そこからの腰痛の発症の関係の追跡調査)
に分けて実施

【結果】

33の研究が条件にマッチ

以下分析結果

Cross Sectional Study(24つの研究)

肥満の被験者の腰痛発症率
1.33倍(95%CI: 1.14~1.54)

Cohort Study(9つの研究)

肥満の被験者の腰痛発症率
1.53倍(95%CI: 1.22~1.92)

肥満の被験者の、腰痛による仕事の欠勤率
1.35倍(95%CI: 1.02~1.79)


【この研究から分かること】

肥満は腰痛のリスクを高める

肥満が腰痛につながるメカニズムは様々なものが考えれます。

この論文内での考察においても
・体重の増加そのものによる、骨格への負担増加
・脂肪細胞の増加による炎症に関わる細胞の分泌の変化
・肥満によるコレステロール値の増加が椎間板への栄養の運搬を阻害する
などが述べられています。

また、肥満→腰痛の関係性だけでなく

腰痛→(運動不足)→肥満

といった関係も考えられます。

肥満の解消のためにダイエットを始めたものの、すぐに腰痛になってしまい運動を継続できなかった。。なんてことになってしまっては元も子もないですよね。

是非新しく運動を行う際には、自分の身体にあった強度のものから始めるようにしてくださいね。

(文責:佐々部孝紀)

 

参考文献

The Association Between Obesity and Low Back Pain: A Meta-Analysis
Rahman Shiri*, Jaro Karppinen, Pa¨ ivi Leino-Arjas, Svetlana Solovieva, and Eira Viikari-Juntura
American Journal of Epidemiology, 2009, Vol. 171, No. 2

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