ストレッチの強度で効果が変わる?目的に応じた使い分け方

ストレッチの強度で効果が変わる?目的に応じた使い分け方

こんにちは。銀座のパーソナルトレーニングスタジオ「フィジカルラボ銀座」です。

 

「身体を柔らかくするため」「怪我の予防」「運動習慣の1つとして」といった理由で取り入れられているストレッチには、行う上で大切なポイントがあります。

 

まずは、『正しい姿勢』で実施すること伸ばしたい筋肉にしっかりとアプローチしながら、関節には余計なな負担をかけないようにするために、正しい姿勢を知ることがとても重要です。

 

そして次が、本日のテーマである「強度」です。

 

みなさんはいつもどのくらいの強さでストレッチをしていますか?

 

気持ち良いくらいの伸び感、痛気持ち良いくらいの伸び感、少し痛みがあるくらいの伸び感、、気分に合わせて適当に決めているかもしれませんね。

 

しかし実は、強度の違いによってストレッチの効果はが変わってくるのです。

 

その裏付けとなる、『ストレッチの強度』が効果に与える影響についての研究結果をご紹介します。

 

Acute effects of the different intensity of static stretching on flexibility and isometric muscle force.

Kataura et al., (2017) (3)

 

研究方法

 

被験者:健康な大学生の男女18名

ハムストリング(太もも裏の3つの筋肉の総称)のストレッチを実施した時にストレッチ痛を感じ始めたポイントの強度を100%とし、

  1. 80%の強度でストレッチ
  2. 100%の強度でストレッチ
  3. 120%の強度でストレッチ

のそれぞれ3パターンを3日空けてもう一度実施した。

各ストレッチはすべて3分実施した。

 

各介入後の関節可動域(ROM)と筋の硬さ(スティフネス)を測定した。

 

結果

 

100%の強度と120%の強度でのストレッチ介入は直後のROMを増加させ、80%の強度でのストレッチはROMを有意に改善させなかった。

 

 

80%の強度のストレッチでは筋のスティフネスは有意な変化を示さなかった。

100%の強度のストレッチでは筋のスティフネスは有意な変化を示したが、80%の強度のものとは有意差は認められなかった。

120%の強度緒ストレッチでは筋のスティフネスに有意な変化が認められ、80%の強度のものとも有意な差を示した。

 

 

この研究から分かること

 

ROM(可動域)の改善は、感覚の変化(痛みへの慣れ)と筋のスティフネスの変化の2つの要因によって起こるとされています(2)。

 

今回紹介した研究では100%の強度のものでも120%の強度のものでもROMは増加していますが、120%の強度のストレッチのほうがより顕著な筋のスティフネスの低下(柔軟性の増加)が起きています。

 

つまり、筋の柔軟性の増加に関してはストレッチの強度が高いほうが効果が大きいということが示唆されました。

 

とはいえ、痛みを我慢して無理にストレッチを行うと筋の損傷を引き起こす可能性もありますので、柔軟性の改善が目的であれば、痛気持ち良いところ(100%)を少し超えたあたりで伸ばすのが効率的でしょう。

 

一方で、筋肉痛の低減などリカバリーが目的の場合は、低強度のストレッチのほうが効果が高い可能性も示唆されていますので(1)、この場合は低強度(80%~100%)でも良いかもしれません。

 

まとめ

 

・身体を柔らかくするため、運動習慣のひとつとしてなど積極的に柔軟性を向上させたい場合は、痛気持ち良いところを少し超えた強度でストレッチをするのが効果的

 

・リカバリーが目的の場合は気持ち良いくらいの低強度のストレッチが効果的

 

なお、身体の機能が低下している高齢の方なども、低強度のストレッチがおすすめです。

 

ストレッチの効果をより高めるために、今後はぜひ「強度」も意識して、目的に応じて使い分けてみてください!

 

©Physicl lab Co.,Ltd. 2023

 

参考文献

  1. Apostolopoulos, NC, Lahart, IM, Plyley, MJ, Taunton, J, Nevill, AM, Koutedakis, Y, et al. The effects of different passive static stretching intensities on recovery from unaccustomed eccentric exercise – a randomized controlled trial. Appl Physiol Nutr Metab 815: 1–10, 2018.Available from: http://www.nrcresearchpress.com/doi/10.1139/apnm-2017-0841
  2. Freitas, SR, Mendes, B, Le Sant, G, Andrade, RJ, Nordez, A, and Milanovic, Z. Can chronic stretching change the muscle-tendon mechanical properties? A review. Scand J Med Sci Sport 28: 794–806, 2018.
  3. Kataura, S, Suzuki, S, Matsuo, S, Hatano, G, Iwata, M, Yokoi, K, et al. Acute effects of the different intensity of static stretching on flexibility and isometric muscle force. J Strength Cond Res 31: 3403–3410, 2017.
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