「文武両道」「健全な精神は健全な肉体に宿る」などの言葉にあるように、昔から頭と身体、言い換えれば「勉学」と「スポーツ」は並べられて考えられたり、お互いに関係かあるようにも思われていました。
一方で「スポーツバカ」という言葉にある通り、スポーツと勉強は別物で、スポーツばかりにのめり込んでいると勉強がおろそかになるというのも頷けます。
実際のところ、スポーツや運動能力と頭の良さというのは関係があるのでしょうか?それともまったくの別物なのでしょうか?
本日はその疑問について調査した研究のご紹介です。
「Physical Fitness and Academic Achievement in Third- and Fifth-Grade Students」
「小学校3~4年生の体力と学業成績」
D. Castelli et al, 2007
【研究デザイン】
●被験者
小学校3,4年生130人
(ある地域の小学校4校から)
●調査方法
学業成績を評価するテスト(ISAT)(読解、数学)
体力テスト(20mシャトルラン、上体起こし、腕立て伏せ、長座体前屈)
を実施
●統計
学業成績、体力テスト間でピアソンの積率相関分析を行った
【結果】
学業成績と各体力要素の間には弱~中程度の相関が認められた。
表中の数値はr値
※r値・・・2つの数値にどの程度関係があったのかを表す数値。1に近いほど強い関係性を持ち、0に近いほど関係性が薄いことを示す。
【この研究から分かること】
特に20mシャトルランの結果(持久力)は学業成績と関係があることが認められました。
このデータだけでは持久力が学業成績に影響を与えたのか、学業成績が持久力に影響を与えたのか、もしくは他の性格的な要素(頑張りぬく性格)が持久力にも学業成績にも影響を与えたのかは分かりません。
しかしながら他の体力テストの結果も、小さいものの有意な正の相関があることから、「運動」と「勉強」は何かしらお互いに良い影響を及ぼし合っている可能性は大いに考えられます。
受験や定期試験を控えているからといってまったく運動をしないよりは、ある程度運動を行ったほう学業面にも良い影響を及ぼすのかもしれませんね。
(執筆者:佐々部孝紀)
参考文献
[1] Darla M Castelli and others, Physical Fitness and Academic Achievement in Third- and Fifth-Grade Students,・ Journal of Sport & Exercise Psychology, 2007, 239-52.