効果的・効率的なトレーニングプログラムの組み方は?【②持久力と筋量・筋力の向上は 両立可能か?】

効果的・効率的なトレーニングプログラムの組み方は?【②持久力と筋量・筋力の向上は 両立可能か?】

こんにちは。銀座のパーソナルトレーニングスタジオ「フィジカルラボ銀座」です。

 

段々と気温が下がり、冬本番を迎えましたね。

 

運動をしなければいけないけれど、寒くて外に出るのがも億劫だからと、ジムで走ったり筋トレをしたりしている方もいらっしゃると思います。

この、走ることと筋トレをすることはどちらも『運動』ですが、身体に与える影響は異なります。

 

例えば、マラソン選手とボディービルダーの身体を見ると、それぞれの運動を極めるとどうなるのかがイメージしやすいかもしれませんね。

(もちろん、週1~2回の運動ではそれらのエキスパートのような身体にはなりませんが)

 

有酸素運動は主にエネルギーを消費して体脂肪を減らす効果が、筋トレには筋肉量や筋力を増加させる効果があります。

 

有酸素運動のみを行っていると、エネルギーを消費するため体脂肪だけでなく筋肉も落ちてきてしまうことがあります。

そのため、筋トレと有酸素運動を組み合わせて筋肉量を維持しながら体脂肪を落とすほうが、より健康的だと考えられます。

 

また、有酸素運動には脳の機能を高めたり、脳の発育を促すホルモンを分泌したりする作用もあるので(1)、心も含めた全身を健康に保つ意味合いでも、持久的な運動と筋トレを両方実施することには意義があるでしょう。

 

もちろん、バスケットボールやサッカーなど瞬発力と持久力の両立が求められるスポーツ選手にも、この2つは非常に重要なトレーニングです。

ところが、持久力トレーニングと筋力トレーニングを両方とも行うと、単独で行ったときよりもそれぞれの効果を妨げてしまうという『干渉効果』が報告されています(3)。

 

では、この2つの効果を叶えるためにはどうしたらいいのでしょう?

今回は、効率的に両立するための『実施のタイミング』についての研究を紹介します。

 

Specific training effects of concurrent aerobic and strength exercises depend on recovery duration.

Robineau et al., (2016) (2)

 

研究方法

被験者:アマチュアラグビー選手58名

 

以下のようにグループ分けをし、週2回7週間の介入

 筋トレのみ実施           :10名

 筋トレの24時間後に持久力トレを実施 :12名

 筋トレの6時間後に持久力トレを実施 :11名

 筋トレの直後に持久力トレを実施   :15名

コントロール群(何も実施しない群)  :10名

 

✓筋トレ

 スクワット、ベンチプレス、レッグプレスなどのトレーニング

 10回⇒6回⇒3回と7週間の中で回数を変えて実施

 

✓持久力トレ

 15秒ラン15秒レストを交互に6分間×3セット

 

介入前後で最大酸素摂取量(VO2peak)や最大筋力をテスト

 

結果

 

下肢の筋力(スクワットの最大挙上重量)は

・筋トレのみ

・24時間後に持久力トレを実施

・6時間後に持久力トレを実施

のグループで、直後に持久トレを実施のグループよりも有意に大きな向上が認められた。

(コントロール群では有意な向上は認められなかった)

 

 

心肺機能(VO2peak)は

・24時間後に持久力トレを実施

のグループで、6時間後に持久力トレを実施、直後に持久トレを実施のグループよりも有意に大きな向上が認められた。

(筋トレのみ群、コントロール群では有意な向上は認められなかった)

 

この研究から分かること

 

筋トレ⇒持久力トレの順序で行う場合、間の時間を空けたほうが干渉効果が少なくなり、筋力の向上も持久力の向上も大きくなることがこの研究で示されました。

 

単独で行ったときよりもそれぞれの効果を妨げてしまうという「干渉効果」があるため、もしもジムに行く頻度を増やせる場合は、筋トレの日は筋トレ、ランニングの日はランニングという形でわけることをおすすめします。

 

ただし、そうは言っても時間がない!という方もいらっしゃるはず。

筋トレに与える持久力トレの干渉効果(筋肥大や筋力向上の抑制)は20~30%程度ということも報告されており(3)、逆に言えば筋トレの後にランニングをしたとしても本来の70~80%の効果は得られるので、筋トレを重視したい場合は、そこまで神経質になる必要はないと考えられます。

 

是非、これらの情報を参考にライフスタイルに合わせたトレーニングプログラムを組んでみてください!

 

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©Physicl lab Co.,Ltd. 2022

 

参考文献

  1. Best, JR. Effects of physical activity on children’s executive function. Dev Rev 30, 2010.Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3147174/pdf/nihms311002.pdf
  2. Robineau, J, Babault, N, Piscione, J, Lacome, M, and Bigard, AX. Specific Training Effects of Concurrent Aerobic and Strength Exercises Depend on Recovery Duration. J Strength Cond Res 30: 672–683, 2016.Available from: http://content.wkhealth.com/linkback/openurl?sid=WKPTLP:landingpage&an=00124278-201603000-00010
  3. Wilson, JMJM, Marin, PJPJ, Rhea, MR, Wilson, SMC, Loenneke, JP, and Anderson, JC. Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. J Strength Cond Res 26: 2293–2307, 2012.Available from: http://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2012/08000/Concurrent_Training___A_Meta_Analysis_Examining.35%5Cnhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22002517
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