こんにちは。銀座のパーソナルトレーニングスタジオ「フィジカルラボ銀座」の川越康平です。
「体幹」は多くの方が知っている言葉だと思いますが、人によってとらえ方が違う印象です。体幹は大事ではありますが、プランクで筋肉を鍛えれば良い、というほど単純ではありません。そこで今回は、体幹とはどこでどんな役割か、鍛える意義と順序、具体的なメニューを解説したいと思います。
そもそも体幹とは?
体幹と聞くとどんなイメージをされるでしょうか?普段お客様と話していると「おなかの筋肉」「ブレない身体」「体の軸」「プランクで腹筋のトレーニング」といったように、人によって様々なイメージを持たれている印象です。
上記のように曖昧な言葉になってしまっている「体幹」ですが、専門的には首から上と四肢を除いた胴体部分、つまり胸部、背部、腹部、腰部をすべて合わせた身体の部位のことを表します。
そのため、上記に述べた一般の方々が持つイメージに対して細かいツッコミをすると、
・おなかの筋肉
⇒おなかの筋肉は体幹の一部である
・ブレない身体
⇒体幹(胴体)がしっかりしていても平衡感覚や関節可動域、安定性に関わる筋力発揮、脳神経系の働きなどが適切に機能していなければブレる
・体の軸
⇒体幹の問題というより重心の取り方によって変わる
・プランクで腹筋のトレーニング
⇒体幹を鍛える種目の内の一つ
以上のようになります。
そして、体幹をより効果的に鍛えたり日常的に安定させたりするためには、「インナーユニット」の働きが基盤となります。インナーユニットという言葉は馴染みのない方も多いかと思いますので、次にインナーユニットについて説明をします。
インナーユニットについて
まず、インナーユニットに近い言葉でインナーマッスルという言葉がありますが、インナーマッスルは身体の深層にある筋肉全般のことを指します。肩や股関節にもインナーマッスルと呼ばれる筋肉はあります。
インナーユニットは腹腔(おなか)の深部にある横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群の4つの筋肉の総称であり、腹部全体をコルセット状に包み、腰椎を安定させる働きをします。
これらが機能していないと効果的な体幹トレーニングができないだけでなく、以下のようなデメリットがあります。
・運動能力の低下
・骨盤や胸郭の機能低下
・姿勢が崩れやすくなる
・日常的にも腰に負担がかかりやすくなる
次に、これらのデメリットを避けるために知っておいていただきたいポイントをお伝えします。
インナーユニットを機能させる2つのポイント
▷まず大事なのは腰椎と胸椎の役割
まずポイントとなるのが、腰椎と胸椎のそれぞれの役割を果たさせることです。
先ほどお伝えしたように、体幹とは胴体部分のことになります。胴体部分の背骨は大きく腰椎と胸椎に分けられ、腰椎は安定性、胸椎は可動性の役割を担っています。ですが腰椎は胸椎のように肋骨などの骨で安定された関節ではない為、筋肉で安定性を保つことが重要です。その役割を果たすのが、インナーユニットになります。
一方胸椎には可動性が求められるのですが、デスクワークや長時間のスマホ使用など「動かなさすぎ」な生活の影響により、硬くなりやすい傾向にあります。そして、胸椎の可動域が制限されると腰椎で動きを補うことになるため(例えば、体を捻る際に胸椎ではなく腰椎で捻ってしまうなど)、安定性の役割だった腰椎の安定性がなくなり、インナーユニットが機能しなくなり、結果として体幹全体の機能低下から全身の運動連鎖の破綻などが生じやすくなります。
▷呼吸の改善でインナーユニットを機能させる
2つめのポイントは呼吸の改善です。
インナーユニットを機能させるためには横隔膜を使った呼吸が必要となりますが、多くの方は横隔膜ではなく、首周りの筋肉を使って呼吸をしているように見受けられます。
呼吸の詳細は過去にアップしたカラダコラム「呼吸の仕方、正しいですか?」をご覧ください。
それではどのような順序で体幹トレーニングをするのが良いか
以上のことを踏まえると、まずは胸周りの可動性を出し、次にインナーユニットを段階的に活性化させるエクササイズをするのが良いと考えられます。それ以降の体幹トレーニングについては、目的によりますが段階的に負荷を上げるとともに、体幹(特に腹部)を安定させた状態で動きもつけると、より機能的な身体を手に入れることができます。以下の流れをご参考ください。(画像をタップすると動画に飛びます)
1)トランクローテーション:胸周りの可動性を出す
2)デッドバグ(膝曲げ):インナーユニットを活性化させる
3)プローンダイアゴナル:体幹を安定させた状態で四肢を動かす
4)ハーフニーリングアンチローテーションプレス:立位の前に片膝立ちで体幹をコントロールさせる
5)スタンディングロシアンツイスト:立位で腹部を安定させた状態で胸椎を捻る
6)オーバーヘッドスクワット:立位で上肢や下肢の動きを伴っても体幹を安定させる
以上6種目をご参考に、体幹トレーニングを進めてみてください。自分の身体や目的によって最適な体幹トレーニングも変わりますので、何をすべきか迷った際はフィジカルドックをぜひ受けにいらしてください!
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