「おなかのお肉が。。。」
「二の腕のプルプルが。。。」
特定の部分の脂肪をどうにかしたい!
そうお考えの人は世の中にたくさんいると思います。
じゃあお腹のお肉を落とすためには腹筋すればいいの?
ジョギングみたいな有酸素運動でとにかくカロリーを消費したほうが効率的なの?
私自身そのへんの知識があいまいだったので、今回は部分痩せについての論文を探してみました!
Matthew A. Kostek et al, 2007
Subcutaneous Fat Alterations Resulting from an Upper-Body Resistance Training Program
【研究デザイン】
●被験者:男女104名
腕を使うスポーツを行っていない者
●実験の流れ
測定(トレーニング前)
↓
トレーニング(12週間)
↓
測定(トレーニング後)
●測定項目
左右の二の腕の
・脂肪厚(機材(キャリパー)でつまんだときの脂肪の厚さ)
・脂肪量(MRIで撮影した脂肪の体積)
・筋断量(MRIで撮影した筋肉の体積)
●トレーニング内容
・片腕のみの筋力トレーニング
(アームカール、キックバック等)
●比較
左右の腕で脂肪を比較し
トレーニングがわ(Tr)でのみ脂肪が減ってたら、部分痩せはすると解釈
トレーニングがわ(Tr)でもトレーニングをしていないがわ(Un-Tr)でも脂肪が減っていたら部分痩せはしないと解釈
【結果】
●脂肪厚(つまんだときの厚さ)
男子Tr -1.3㎜(有意な減少)
男子Un-Tr-0.3㎜
女子Tr -0.8㎜
女子Un-Tr-0.6㎜
男子の減少量は有意な左右差あり
●脂肪量(MRI)
男子Tr -16.1 ml(有意な減少)
男子Un-Tr-11.9 ml(有意な減少)
女子Tr -17.5 ml(有意な減少)
女子Un-Tr-15.1 ml(有意な減少)
男女共に有意な左右差なし
●筋量(MRI)
男子Tr +93.0 ml(有意な増加)
男子Un-Tr+ 3.2 ml
女子Tr +60.3 ml
女子Un-Tr+ 3.7 ml
男子の増加量は有意な左右差あり
●その他統計結果
脂肪厚(つまんだときの厚さ)の減少量と脂肪量(MRI)の減少量には有意な相関なし
(女子のTrのみ、弱い相関あり)
【この研究から分かること】
・つまんだときの厚さ=脂肪量ではない
脂肪厚(つまんだときの厚さ)と脂肪量(MRI)との間に有意な相関が認められなかったことから、この2つは別物と考えていいでしょう。
・脂肪の量という観点からは、部分痩せはしない
トレーニングがわの腕と、トレーニングをしていないがわの腕の脂肪量(MRI)の減少量に左右差が認められなったため、このように結論づけてもいいでしょう。これは運動でカロリーを消費するものの、脂肪の燃焼はその部分ではなく、全身で行われるからだと考えられます。
・引き締め(つまんだときの厚さを減らす)という観点からは、部分的なトレーニングは効果あり?
ただし、単純な脂肪量の減少ではなく、「つまんだ時の厚さ」を減らすという意味では部分的なトレーニングは効果ありかもしれません。これは筋量の増加によって筋肉が太くなったぶん、つまみにくくなったからでしょうか。
・筋量の増加はトレーニングがわの腕でのみ見られた
女子については統計学的な有意差はみられていません(標準偏差の大きさの影響?)が、それでもトレーニングをしていないがわに比べたら増加している傾向は十分認められます。
「痩せる」と一言に行っても、健康のために脂肪を減らすのか(メタボリックシンドロームの予防等)、見た目をよくするためなのかによって最適な方法は変わってくるのかもしれませんね!
執筆:佐々部孝紀(トレーナー)
参考文献
Matthew A. Kostek
Subcutaneous Fat Alterations Resulting from an Upper-Body Resistance Training Program
the American College of Sports Medicine, 2007, 1177-1185