【リサーチ】アキレス腱炎の治療法としての高負荷トレーニング

運動というものは健康には欠かせませんが、時には運動によって怪我が起きてしまうこともあり得ます。

みなさん、もしも怪我をしてしまったらどういう対策を取りますか?

休む。マッサージを受ける。物理的な治療(電気・超音波)。怪我によっては病院で注射を打ってもらうなんてのもあるかもしれませんね。

ただ、その怪我の治療に「運動」が特に高い効果を発揮する可能性があるなんて言ったら信じられますか…?

 

今日は「アキレス腱炎」という傷害に対する運動の治療効果を検証した研究の紹介です。

 


Heavy-Load Eccentric Calf Muscle Training For the Treatment of Chronic Achilles Tendinosis

Hakan Aifredson et al, 1998

【研究デザイン】

被検者:レクリエーションレベルのランナー
片足にアキレス腱炎と診断をうけた人(逆の足には症状なし)
朝起きた時の固さ・痛み、ランニング時の痛みあり

被検者は前から様々な治療を試みているが、顕著な改善は見られていない。
(安静、非ステロイド抗炎症薬、シューズの変更、フィジカルセラピー等)

以下のような2群に分けた(検証期間は別々)

手術群 (Sg群)15名
年齢:39.6±7.9歳
症状:6~88カ月間痛みあり

エキセントリックトレーニング群 (Tr群)15名
年齢:44.3±7.0歳
症状:3~100カ月間痛みあり

 

●介入方法

Sg群・・・手術後、段階的な運動療法
24週経過観察

 

Tr群・・・1日2回ふくらはぎの筋力トレーニング
(カーフレイズ:つま先を段差にのせ、踵を上下させる運動)
患側(アキレス腱炎側の足)は降りる局面のみ実施
多少の痛みはあっても継続。痛みがなけれが重りで負荷を増していく。
12週間毎日実施。

●測定

それぞれの群において

・筋力(Biodex)

・走ったときの痛み(VASを用いて0~100で評価)

を介入前・後で測定

【結果】

●筋力(エキセントリック90°/sec)

Sg群
筋力の変化  :―1.4%

患側/健側比:86.4%⇒84.3%

Tr群
筋力の変化   :+17.9%

患側/健側比:88.8%⇒98.5%

●ランニング時の痛み(VAS:0~100)

Sg群
71.8⇒21.2

Tr群
81.2⇒4.8


 

【この研究からわかること】

特定のトレーニングの介入が効果的な治療方法の1つに成り得る

今回の被験者の方々は、他の対策・治療(安静、注射等)をとってきましたが症状が改善しませんでした。

そこで手術orトレーニングを行うことで痛みが両群とも大幅に改善しました。

しかも筋力に関してははSg群に比べてTr群のほうが大きな改善が見られました。

ただ、今回の研究は
・腱の慢性的な障害(それも長期にわたって症状が改善しない症例)
・繊維の肥厚や配列の乱れが確認されており、そこにエキセントリックの刺激が良い影響を及ぼした
という例なので、

どんな怪我でも運動の介入で痛みが改善するというわけではない ので、そこは気を付けてくださいね。

 

参考資料:
Hakan Alfredson, MD, Tom Pietila, RPT, Per Jonsson, and Ronny Lorentzon, MD, PhD
Heavy-Load Eccentric Calf Muscle Training For the Treatment of Chronic Achilles Tendinosis
The American Journal of Sports Medicine, 1998, 26(3):360-366

佐々部孝紀